罪悪感に苛まれた先生と
いつも通りの散歩道
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作品
こころ
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作者
夏目漱石
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地域
千代田区・文京区
01 伝通院(傳通院)
このスポットについて
先生はお嬢さんとの結婚が認められたことへの動揺とKを裏切ったことによる罪悪感の間で揺れながら、アテもなく散歩をはじめます。東大卒業後、漱石が伝通院のそばの法蔵院に間借りしていたためか、他作品にも多く登場するスポットです。

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01 伝通院(傳通院)
黙って自分の机の前に坐って、二人のこそこそ話を遠くから聞いている私を想像してみると、何だか落ち付いていられないような気もするのです。私はとうとう帽子を被って表へ出ました。
夏目漱石『こころ』より
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02 神保町 古書店街
このスポットについて
いつもの散歩コースのはずが、この時の先生は本を見る余裕もなく、ただ解決しない問題に思いを馳せるのでした。錦華小学校や東京府第一中学など、神保町にあった学校に通っていた漱石。多感な青春時代を過ごした街は、漱石文学の礎になっているとも言われています。

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02 神保町 古書店街
私がこの界隈を歩くのは、いつも古本屋をひやかすのが目的でしたが、その日は手摺(てず)れのした書物などを眺める気が、どうしても起らないのです。
夏目漱石『こころ』より
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寄り道スポット
松栄亭
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松栄亭
このスポットについて
作中には登場しませんが、老舗の食事処です。夏目漱石の愛した「洋風かき揚げ」を味わうことが出来ます。

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03 万世橋
このスポットについて
先生のアテのない散歩も折り返し地点です。この先に、明治時代にターミナル駅として賑わった万世橋駅がありました。現在は「マーチエキュート神田万世橋」にリノベーションされており、当時の雰囲気を感じることができます。

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03 万世橋
私はとうとう万世橋を渡って、明神の坂を上がって、本郷台へ来て、それからまた菊坂を下りて、しまいに小石川の谷へ下りたのです。
夏目漱石『こころ』より
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04 明神の坂
このスポットについて
それでもなお止まることなく先生は歩き続けます。神田神社の境内にある明神会館のわきから、東に下る石段の坂です。今ではビルが多いですが、かつては高台から眺めの良い景色が見られたのではないでしょうか。

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04 明神の坂
私はとうとう万世橋を渡って、明神の坂を上がって、本郷台へ来て、それからまた菊坂を下りて、しまいに小石川の谷へ下りたのです。
夏目漱石『こころ』より
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05 COFFEE こころ
このスポットについて
長く歩いてお疲れのことでしょう。作中には登場しませんが、作品にちなんだ喫茶店を紹介します。店名の由来はもちろん当作『こころ』より。

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05 COFFEE こころ
私はとうとう万世橋を渡って、明神の坂を上がって、本郷台へ来て、それからまた菊坂を下りて、しまいに小石川の谷へ下りたのです。
夏目漱石『こころ』より
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寄り道スポット
文京シビックセンター
展望ラウンジ
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文京シビックセンター展望ラウンジ
このスポットについて
おつかれさまでした。約一〇五メートルの展望台で、ここまで散歩してきた街並みを一望しながら旅を終えましょう。東京スカイツリー、新宿副都心、富士山、筑波山などの景色が目の前いっぱいに広がります。

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文京シビックセンター展望ラウンジ
私の歩いた距離はこの三区に跨って、いびつな円を描いたともいわれるでしょうが、私はこの長い散歩の間ほとんどKの事を考えなかったのです。
夏目漱石『こころ』より
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